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心房細動 explanation

病気の説明

心房細動について、
知っておきたいこと

2026年6月更新 白岩医院 院長 読了約4分

「脈がバラバラに感じる」「ときどき胸がドキドキする」——心房細動は、心臓の上の部屋(心房)が不規則に震え続ける代表的な不整脈です。症状がないまま進むこともある一方、気づかずにいると脳梗塞や心不全につながることがあります。早めに見つけてきちんと管理すれば、普通の生活を続けることができます。気になることがあれば、一緒に確認しましょう。

心房細動とはどんな病気?

正常な心臓は、洞結節という「ペースメーカー」が規則正しく電気信号を出すことでリズムよく動いています。心房細動では、心房に無秩序な電気信号が生じ、心房が毎分300〜600回以上の速さで細かく震えます。その結果、心室への信号も乱れ、脈拍が不規則になります。

日本では推計110〜120万人が心房細動を持つといわれ、加齢とともに増加します。高血圧・心不全・睡眠時無呼吸症候群などの生活習慣病との関連が深く、「生活習慣病の合併症」としても位置づけられています。

発作性心房細動

突然始まり、7日以内に自然に止まるタイプ。「ときどき動悸がする」という方に多く、初期段階に見られます。繰り返すうちに持続性に移行することがあります。

突然始まり自然に止まる数分〜数時間で治まることが多い
発作時に動悸・息切れを感じる

持続性・永続性心房細動

7日以上続く場合が「持続性」、治療で戻せなくなった状態が「永続性」。症状がないケースも多く、健診の心電図で初めて発見されることもあります。

症状がなくても脳梗塞リスクは同じ
健診の心電図で偶然発見されることも

気になるサイン・主な原因

こんな症状ありませんか

約半数は無症状です。次のサインが気になったときはご相談を。

動悸・胸のドキドキが続く脈がバラバラ・抜ける感じがする
息切れ・少し動くだけで苦しい
胸の不快感・締め付け感
疲れやすい・だるさが続く
めまい・ふらつき
健診の心電図で「不整脈」と指摘された

心房細動を起こしやすい原因

生活習慣病との関連が深い病気です。

高血圧(最大の原因のひとつ)長年の高血圧が心房を拡大・障害させる
加齢(65歳以上で急増)
心不全・弁膜症・虚血性心疾患
糖尿病・肥満・脂質異常症
睡眠時無呼吸症候群夜間の低酸素が心房を傷める
過度の飲酒・喫煙・過労・ストレス

心房細動が怖い理由 ——脳梗塞リスク

心房細動で最も注意すべきことは、脳梗塞(心原性脳塞栓症)のリスクが著しく高まることです。心房が正常に収縮できないため、心臓内(特に左心耳)に血液が淀んで血栓(血の塊)ができやすくなります。この血栓が脳の血管に飛ぶと、突然の重篤な脳梗塞を引き起こします。

⚠ 心房細動による脳梗塞は、他の脳梗塞と比べて重症になりやすく、後遺症が残りやすい傾向があります。症状がない心房細動でも脳梗塞リスクは同じです。 無症状だからといって放置しないことが大切です。

脳梗塞リスクの評価スコア GL2024 準拠

抗凝固療法(血栓を防ぐ薬)の必要性は、CHADS₂スコアで評価します。2024年版ガイドラインでは、日本人向けの新しいスコア(HELT-E2S2)も紹介されましたが、外来ではCHADS₂が引き続き広く使われています。当てはまる項目の点数を合計してください。

うっ血性心不全

Congestive heart failure

1点

高血圧

Hypertension

1点

75歳以上

Age ≥75

1点

糖尿病

Diabetes mellitus

1点

脳梗塞・TIAの既往

Stroke / TIA

2点

CHADS₂スコア 脳梗塞リスク 抗凝固療法の目安
0点 低リスク(年間約1.9%) 原則不要。生活習慣の管理を優先
1点 中リスク(年間約2.8%) DOAC(直接経口抗凝固薬)を考慮
2点以上 高リスク(年間約4〜12%) DOACを強く推奨(ワルファリンも可)
ℹ 2024年版ガイドラインでは、日本人に特化したHELT-E2S2スコアが新たに紹介されました(H:高血圧、E:高齢、L:左室機能低下、T:血栓塞栓症既往、E2:85歳以上、S2:脳卒中既往)。CHADS₂に加えて、より精密なリスク評価が可能になっています。詳細はご相談ください。

治療の3つの柱 GL2024 準拠

心房細動の治療は「①脳梗塞の予防」「②心拍数・リズムのコントロール」「③生活習慣の改善」の3つを組み合わせて行います。

① 抗凝固療法(脳梗塞予防)

血栓の形成を防ぐ薬(抗凝固薬)を服用します。現在はDOAC(直接経口抗凝固薬)が第一選択です。従来のワルファリンと違い、食事制限がなく定期的な血液検査(INR測定)も不要で、飲みやすくなりました。

DOACには4種類(ダビガトラン・リバーロキサバン・アピキサバン・エドキサバン)があり、腎機能・年齢・体重などに応じて選択します。自己判断で中止しないことが最も大切です。

② 心拍数コントロール

心房細動を完全に止めることが難しい場合、心室の拍動を適切な速さに保つ治療です。β遮断薬・Ca拮抗薬・ジゴキシンなどを使い、安静時60〜80回/分を目標とします。

脈が速すぎると心臓に負担がかかり、心不全を引き起こすことがあります。「脈を遅くする薬」と覚えてください。

③ リズムコントロール(洞調律の回復)

正常なリズム(洞調律)に戻すことを目指す治療です。抗不整脈薬・電気的除細動・カテーテルアブレーション(心房内の異常な電気回路を焼灼する治療)などが選択肢となります。

2024年版ガイドラインでは、特に若い方・心不全を合併する方に対して、カテーテルアブレーションを早期に検討することが推奨されています。

④ 生活習慣の改善(上流治療)

2024年版ガイドラインで「上流治療(Upstream therapy)」として改めて強調されました。高血圧・肥満・糖尿病・睡眠時無呼吸症候群の管理が、心房細動の再発予防に直結します。

特に減量(体重の10%減)は、心房細動の再発率を大きく下げることが証明されています。

DOACとワルファリン、何が違うの?

「血をサラサラにする薬」として知られる抗凝固薬には、新しいタイプ(DOAC)と従来のタイプ(ワルファリン)があります。

項目 DOAC(新しいタイプ) ワルファリン(従来のタイプ)
食事制限 不要 納豆・青汁など制限あり
定期的な血液検査 不要(腎機能確認は必要) INR測定のため1~3か月に1回必要
効果の安定性 安定している 食事・薬の影響を受けやすい
脳出血リスク やや少ない DOACより高め
費用 ワルファリンより高め 安価
適応外のケース 機械弁・僧帽弁狭窄症はワルファリン 上記の場合は必須
抗凝固薬は自己判断で止めないでください。「調子がいいから」「出血が怖いから」と勝手にやめると、脳梗塞を引き起こすリスクが急激に高まります。副作用・出血・手術前の休薬など、気になることはまずご相談ください。

日常生活でできること

心房細動の再発・進行を防ぐために、生活習慣の改善が治療と同じくらい重要です。

血圧・脈拍を毎日記録する

脈の乱れに早めに気づくために、毎朝の測定習慣をつけましょう

適正体重を維持する

体重の10%減少が心房細動の再発率を大きく下げます

減塩・バランスのよい食事

高血圧の管理が心房細動の予防・再発防止に直結します

お酒を控えめにする

過度の飲酒は心房細動の誘因になります。休肝日を設けましょう

禁煙する

喫煙は心房細動の発症・再発リスクを高めます

薬を毎日続ける

特に抗凝固薬は自己中断せず、変更したい場合はご相談を

💡 睡眠時無呼吸症候群(SAS)を合併している方は、CPAP治療によって心房細動の再発が減少することが報告されています。「いびきがひどい」「朝に疲れが取れない」方は、あわせてご相談ください。
🚨 次のような症状があればすぐに救急を呼んでください(脳梗塞・重篤な不整脈のサイン)
・突然の顔・手足の麻痺、ろれつが回らない ・突然の激しい頭痛 ・突然視野が暗くなる・見えにくい
・意識がもうろうとする ・胸痛が続く・意識を失う

こんなとき、白岩医院にご相談ください

「脈が乱れる気がする」「健診で心電図の異常を指摘された」と感じたら、早めにご相談ください。

  • 動悸・脈のバラつき・胸の不快感が気になる
  • 健診の心電図で「不整脈」「心房細動の疑い」と指摘された
  • 高血圧・心不全・糖尿病があり、心臓のリズムも気になる
  • 心房細動と診断されているが、薬の管理や日常生活について相談したい
  • 抗凝固薬(DOACやワルファリン)の副作用・出血・手術前の休薬について知りたい
  • カテーテルアブレーションを勧められたが、詳しく話を聞きたい

循環器専門医として、心房細動の診断・薬の管理から、専門病院への紹介まで、患者さんに合った方法でサポートします。高血圧・糖尿病・睡眠時無呼吸症候群とあわせたケアも白岩医院にご相談ください。

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