心房細動について、
知っておきたいこと
「脈がバラバラに感じる」「ときどき胸がドキドキする」——心房細動は、心臓の上の部屋(心房)が不規則に震え続ける代表的な不整脈です。症状がないまま進むこともある一方、気づかずにいると脳梗塞や心不全につながることがあります。早めに見つけてきちんと管理すれば、普通の生活を続けることができます。気になることがあれば、一緒に確認しましょう。
心房細動とはどんな病気?
正常な心臓は、洞結節という「ペースメーカー」が規則正しく電気信号を出すことでリズムよく動いています。心房細動では、心房に無秩序な電気信号が生じ、心房が毎分300〜600回以上の速さで細かく震えます。その結果、心室への信号も乱れ、脈拍が不規則になります。
日本では推計110〜120万人が心房細動を持つといわれ、加齢とともに増加します。高血圧・心不全・睡眠時無呼吸症候群などの生活習慣病との関連が深く、「生活習慣病の合併症」としても位置づけられています。
発作性心房細動
突然始まり、7日以内に自然に止まるタイプ。「ときどき動悸がする」という方に多く、初期段階に見られます。繰り返すうちに持続性に移行することがあります。
持続性・永続性心房細動
7日以上続く場合が「持続性」、治療で戻せなくなった状態が「永続性」。症状がないケースも多く、健診の心電図で初めて発見されることもあります。
気になるサイン・主な原因
こんな症状ありませんか
約半数は無症状です。次のサインが気になったときはご相談を。
心房細動を起こしやすい原因
生活習慣病との関連が深い病気です。
心房細動が怖い理由 ——脳梗塞リスク
心房細動で最も注意すべきことは、脳梗塞(心原性脳塞栓症)のリスクが著しく高まることです。心房が正常に収縮できないため、心臓内(特に左心耳)に血液が淀んで血栓(血の塊)ができやすくなります。この血栓が脳の血管に飛ぶと、突然の重篤な脳梗塞を引き起こします。
脳梗塞リスクの評価スコア GL2024 準拠
抗凝固療法(血栓を防ぐ薬)の必要性は、CHADS₂スコアで評価します。2024年版ガイドラインでは、日本人向けの新しいスコア(HELT-E2S2)も紹介されましたが、外来ではCHADS₂が引き続き広く使われています。当てはまる項目の点数を合計してください。
うっ血性心不全
Congestive heart failure
1点
高血圧
Hypertension
1点
75歳以上
Age ≥75
1点
糖尿病
Diabetes mellitus
1点
脳梗塞・TIAの既往
Stroke / TIA
2点
| CHADS₂スコア | 脳梗塞リスク | 抗凝固療法の目安 |
|---|---|---|
| 0点 | 低リスク(年間約1.9%) | 原則不要。生活習慣の管理を優先 |
| 1点 | 中リスク(年間約2.8%) | DOAC(直接経口抗凝固薬)を考慮 |
| 2点以上 | 高リスク(年間約4〜12%) | DOACを強く推奨(ワルファリンも可) |
治療の3つの柱 GL2024 準拠
心房細動の治療は「①脳梗塞の予防」「②心拍数・リズムのコントロール」「③生活習慣の改善」の3つを組み合わせて行います。
① 抗凝固療法(脳梗塞予防)
血栓の形成を防ぐ薬(抗凝固薬)を服用します。現在はDOAC(直接経口抗凝固薬)が第一選択です。従来のワルファリンと違い、食事制限がなく定期的な血液検査(INR測定)も不要で、飲みやすくなりました。
DOACには4種類(ダビガトラン・リバーロキサバン・アピキサバン・エドキサバン)があり、腎機能・年齢・体重などに応じて選択します。自己判断で中止しないことが最も大切です。
② 心拍数コントロール
心房細動を完全に止めることが難しい場合、心室の拍動を適切な速さに保つ治療です。β遮断薬・Ca拮抗薬・ジゴキシンなどを使い、安静時60〜80回/分を目標とします。
脈が速すぎると心臓に負担がかかり、心不全を引き起こすことがあります。「脈を遅くする薬」と覚えてください。
③ リズムコントロール(洞調律の回復)
正常なリズム(洞調律)に戻すことを目指す治療です。抗不整脈薬・電気的除細動・カテーテルアブレーション(心房内の異常な電気回路を焼灼する治療)などが選択肢となります。
2024年版ガイドラインでは、特に若い方・心不全を合併する方に対して、カテーテルアブレーションを早期に検討することが推奨されています。
④ 生活習慣の改善(上流治療)
2024年版ガイドラインで「上流治療(Upstream therapy)」として改めて強調されました。高血圧・肥満・糖尿病・睡眠時無呼吸症候群の管理が、心房細動の再発予防に直結します。
特に減量(体重の10%減)は、心房細動の再発率を大きく下げることが証明されています。
DOACとワルファリン、何が違うの?
「血をサラサラにする薬」として知られる抗凝固薬には、新しいタイプ(DOAC)と従来のタイプ(ワルファリン)があります。
| 項目 | DOAC(新しいタイプ) | ワルファリン(従来のタイプ) |
|---|---|---|
| 食事制限 | 不要 | 納豆・青汁など制限あり |
| 定期的な血液検査 | 不要(腎機能確認は必要) | INR測定のため1~3か月に1回必要 |
| 効果の安定性 | 安定している | 食事・薬の影響を受けやすい |
| 脳出血リスク | やや少ない | DOACより高め |
| 費用 | ワルファリンより高め | 安価 |
| 適応外のケース | 機械弁・僧帽弁狭窄症はワルファリン | 上記の場合は必須 |
日常生活でできること
心房細動の再発・進行を防ぐために、生活習慣の改善が治療と同じくらい重要です。
血圧・脈拍を毎日記録する
脈の乱れに早めに気づくために、毎朝の測定習慣をつけましょう
適正体重を維持する
体重の10%減少が心房細動の再発率を大きく下げます
減塩・バランスのよい食事
高血圧の管理が心房細動の予防・再発防止に直結します
お酒を控えめにする
過度の飲酒は心房細動の誘因になります。休肝日を設けましょう
禁煙する
喫煙は心房細動の発症・再発リスクを高めます
薬を毎日続ける
特に抗凝固薬は自己中断せず、変更したい場合はご相談を
・突然の顔・手足の麻痺、ろれつが回らない ・突然の激しい頭痛 ・突然視野が暗くなる・見えにくい
・意識がもうろうとする ・胸痛が続く・意識を失う
こんなとき、白岩医院にご相談ください
「脈が乱れる気がする」「健診で心電図の異常を指摘された」と感じたら、早めにご相談ください。
- ›動悸・脈のバラつき・胸の不快感が気になる
- ›健診の心電図で「不整脈」「心房細動の疑い」と指摘された
- ›高血圧・心不全・糖尿病があり、心臓のリズムも気になる
- ›心房細動と診断されているが、薬の管理や日常生活について相談したい
- ›抗凝固薬(DOACやワルファリン)の副作用・出血・手術前の休薬について知りたい
- ›カテーテルアブレーションを勧められたが、詳しく話を聞きたい
循環器専門医として、心房細動の診断・薬の管理から、専門病院への紹介まで、患者さんに合った方法でサポートします。高血圧・糖尿病・睡眠時無呼吸症候群とあわせたケアも白岩医院にご相談ください。
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