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認知症 explanation

病気の説明

認知症について、
知っておきたいこと

2026年6月更新 白岩医院 院長 読了約5分

「最近もの忘れが増えた」「同じことを何度も聞く」——認知症は、加齢に伴う自然なもの忘れとは異なり、脳の病気によって記憶・判断力・生活能力が低下する状態です。日本では65歳以上の約6人に1人が認知症といわれ、田村市のような高齢化率の高い地域ではとりわけ身近な病気です。でも、早めに気づいて適切に対処すれば、本人も家族も、より長く穏やかな時間を過ごすことができます。

認知症とは何か——加齢のもの忘れとの違い

年をとると誰でもある程度もの忘れが増えますが、認知症によるもの忘れとは質が異なります。

比較加齢によるもの忘れ認知症によるもの忘れ
忘れ方体験の「一部」を忘れる(ヒントで思い出せる)体験した「こと自体」を忘れる(ヒントがあっても思い出せない)
日常生活支障はない日常生活に支障が出てくる
自覚「忘れた」と気づいている「忘れた」という自覚が薄れてくる
進行ゆっくりで日常生活に大きな変化はない時間とともに進行する
「昨日の夕食のメニューを忘れた」「昨日、夕食を食べたこと自体を忘れた」
ℹ 「もの忘れがひどくなってきた」と感じたら、まずかかりつけ医にご相談ください。認知症に似た症状でも、甲状腺機能低下症・うつ病・脳腫瘍・薬の副作用など、治療で改善できる原因が隠れていることがあります。

認知症の主な種類

認知症にはいくつかの種類があり、それぞれ原因・症状・治療方針が異なります。正確な病型診断が、適切なケアへの第一歩です。

約60〜70%

アルツハイマー型認知症

脳にアミロイドβなどの異常なタンパク質が蓄積し、神経細胞が徐々に壊れていく。記憶障害(特に直近の出来事)から始まり、言語・判断力・見当識障害へと進行する

約20%

血管性認知症

脳梗塞・脳出血など脳血管障害による脳細胞の損傷が原因。高血圧・糖尿病・脂質異常症の管理で進行を予防できる。症状が段階的に悪化するのが特徴

約15〜20%

レビー小体型認知症

脳にレビー小体(異常なタンパク質)が蓄積するタイプ。リアルな幻視(虫・人が見える)・パーキンソン症状(手の震え・歩きにくさ)・認知機能の変動が特徴的

約1〜5%

前頭側頭型認知症

前頭葉・側頭葉が萎縮するタイプ。比較的若い年代(40〜60代)に発症しやすく、記憶より「人格変化・反社会的行動・言語障害」が先に現れるのが特徴

MCIとは——認知症になる前に気づける段階

MCI(軽度認知障害:Mild Cognitive Impairment)とは、認知症の一歩手前の状態です。記憶などの認知機能は低下しているものの、日常生活はなんとか自分でできる段階を指します。

MCIのポイント

65歳以上の約13%(推計400万人)がMCIと推計
MCIのうち、年間約10〜15%が認知症に移行適切な介入で認知症への移行を遅らせたり、回復できることもある
新薬(レカネマブ・ドナネマブ)の適応対象MCI段階からの早期診断・治療開始が重要になった
この段階での生活習慣改善が最も効果的

MCIに気づくサイン

以下のような変化が続くときは、一度認知機能の検査を受けてみましょう。

最近の出来事をよく忘れる(財布の置き場所、約束など)
同じことを繰り返し話す・聞く
言いたい言葉がすぐに出てこない
複雑な計算・段取りが以前よりつらくなった
日付・曜日・場所の感覚がぼんやりしてきた
⚠ 「本人が気になっている」より「家族が気になっている」ことの方が、認知症の早期サインとして重要なことがよくあります。「最近、父(母)がおかしい」と感じたら、一緒に受診してください。

診断のための主な検査

認知症の診断は、問診・認知機能検査・画像検査などを組み合わせて行います。白岩医院では初期評価を行い、必要に応じて専門医療機関へ紹介します。

検査内容・わかること
問診・生活歴の確認本人・家族から症状の始まりと経過を聞く。日常生活の変化を把握することが最も重要
認知機能スクリーニング
(MMSE・HDS-R など)
記憶・見当識・計算・言語などを検査。点数で認知機能の大まかな段階を把握
血液検査甲状腺機能低下症・ビタミン欠乏など「治療可能な認知症」の原因を除外する
頭部CT・MRI
(専門病院)
脳萎縮の部位・脳梗塞・脳腫瘍・水頭症などを確認。病型診断に必須
脳血流SPECT
(専門病院)
脳の血流パターンを画像化。アルツハイマー型・レビー小体型の鑑別に有用
アミロイドPET・髄液検査
(専門病院)
アルツハイマー病の原因物質(アミロイドβ)の蓄積を確認。新薬投与の適否判断に必要

治療の選択肢 最新情報含む

認知症の治療は、薬物療法と非薬物療法(リハビリ・環境調整・介護支援)を組み合わせて行います。2023〜2024年に登場した新しい薬により、アルツハイマー病の治療が大きく変わりつつあります。

従来の薬(症状を和らげる)

薬剤名種類対象・特徴
ドネペジル(アリセプト)コリンエステラーゼ阻害薬軽度〜重度のアルツハイマー型。レビー小体型にも使用。最も広く使われる
ガランタミン(レミニール)コリンエステラーゼ阻害薬軽度〜中等度のアルツハイマー型
リバスチグミン(イクセロン・リバスタッチ)コリンエステラーゼ阻害薬軽度〜中等度。貼り薬(パッチ)で使いやすい
メマンチン(メマリー)NMDA受容体拮抗薬中等度〜重度のアルツハイマー型。上記3剤との併用も可能

新しい薬(病気の進行を抑える)2023〜2024年 承認

レカネマブ(レケンビ®)

2023年9月承認・12月保険適用
アルツハイマー病の原因物質(アミロイドβ)を脳から除去従来薬とは全く異なる「疾患修飾療法」
18か月投与で認知機能低下を約27%抑制(臨床試験)
対象:アルツハイマー病によるMCI・軽度認知症のみアミロイドPETまたは髄液検査でアミロイドβ蓄積を確認した方
2週に1回の点滴静注(専門病院で実施)

ドナネマブ(キシンタ®)

2024年11月承認
レカネマブと同じく抗アミロイドβ抗体薬アミロイドβを脳から除去し、進行を抑制する
18か月投与で認知機能低下を約29%抑制(臨床試験)
対象:アルツハイマー病によるMCI・軽度認知症のみ
4週に1回の点滴静注(専門病院で実施)
💡 レカネマブ・ドナネマブは「症状をよくする薬」ではなく、「進行を遅らせる薬」です。軽度の段階でのみ効果があるため、早期発見・早期診断が何より重要になりました。「もの忘れが気になる」と感じたら、できるだけ早く受診してください。また、これらの薬は専門病院での実施となりますが、白岩医院から速やかにご紹介します。

認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)への対応

認知症の中核症状(記憶障害・見当識障害など)に加えて、周辺症状(BPSD)が介護の大きな負担になることがあります。

BPSDの主な症状

徘徊・迷子になる
興奮・暴言・暴力
幻覚・妄想(「財布を盗まれた」など)
抑うつ・不安・無気力
昼夜逆転・睡眠障害
食欲の変化・異食

対応のポイント

BPSDは本人が「困っているサイン」です。まず環境・関わり方の工夫を優先します。

「否定せず、共感する」コミュニケーション
日課・規則正しい生活リズムを保つ
安全で過ごしやすい環境を整える
介護サービス(デイサービス等)の活用
症状が強い場合は向精神薬の使用もかかりつけ医・専門医にご相談ください

認知症の予防・進行を遅らせるために

認知症を完全に予防する方法はまだありませんが、生活習慣の改善で発症リスクを下げ、進行を遅らせることができると多くの研究が示しています。特に血管性危険因子の管理(高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙)は最も根拠の強い予防策です。

高血圧・糖尿病・脂質異常症を管理する

中年期の高血圧管理が認知症リスクを最も強く下げる。かかりつけ医での継続管理が重要

適度な運動を続ける

週150分の有酸素運動が脳血流を改善し、認知機能低下を抑制する

バランスのよい食事

地中海食・MIND食(野菜・魚・ナッツ・オリーブオイル中心)が認知症予防に有効とされる

社会参加・人との交流を続ける

孤立は認知症の大きなリスク因子。地域の活動・趣味の継続が脳を刺激する

十分な睡眠をとる

睡眠中に脳内のアミロイドβが洗い流される。睡眠不足は認知症リスクを高める

禁煙・節酒

喫煙は認知症リスクを約1.5〜2倍に高める。大量飲酒も脳を傷める

💡 難聴の放置も認知症の大きなリスク因子です(ランセット委員会報告)。「最近聞き取りにくい」と感じたら補聴器の検討を。社会的な孤立を防ぐことにもつながります。

介護・支援の相談窓口

認知症は本人だけでなく、家族にとっても大きな負担になります。一人で抱え込まず、地域の支援につながることが大切です。

相談先・サービスできること
地域包括支援センター介護・認知症に関する総合相談窓口。ケアマネジャーへのつなぎ役。田村市でもご利用いただけます
かかりつけ医認知機能の初期評価・診断・薬の管理・専門医への紹介。継続的な管理の中心
介護保険サービスデイサービス・訪問介護・ショートステイなど。要介護認定を受けることで利用できます

こんなとき、白岩医院にご相談ください

「気になるけど、認知症と決まったわけじゃないし……」と思わず、早めにご相談ください。早期発見が本人と家族の選択肢を広げます。

  • 最近もの忘れが増えてきた・同じことを繰り返す
  • 家族の様子が「いつもと違う」気がして心配
  • 認知症の診断を受けたが、薬の管理や日常生活の相談がしたい
  • 新薬(レカネマブ・ドナネマブ)について知りたい
  • 認知症の介護で疲弊しており、支援につないでほしい
  • 高血圧・糖尿病などの管理を通じて認知症予防をしたい

認知症は、早く気づくほど選択肢が増える病気です。白岩医院では認知機能の初期評価から、専門医療機関への紹介・介護サービスへのつなぎまで、本人と家族を継続的にサポートします。「まだ大丈夫かも」と思っていても、気になったときがちょうどいいタイミングです。どうぞお気軽にご相談ください。

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