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もの忘れ・認知機能の低下 symptoms

症状から調べる

もの忘れ・認知機能の低下——
「年のせい」か「病気のサイン」か、見分けましょう

2026年6月更新 白岩医院 院長 読了約4分

「最近、もの忘れがひどくなった気がする」「同じことを何度も聞くと家族に言われた」——こうした変化を「年のせいだから仕方ない」と放置していませんか?もの忘れには、加齢による自然な変化と、治療が必要な病気のサインの2種類があります。また、認知症に似た症状でも甲状腺機能低下症・うつ病・薬の副作用など、治療で改善できる原因が隠れていることがあります。早めに確認することが、選択肢を守ることにつながります。

まず確認——「年のせいのもの忘れ」と「認知症のもの忘れ」の違い

最も重要な見分け方は、「体験の一部を忘れる」か「体験そのものを忘れる」かです。

比較 加齢によるもの忘れ 認知症・MCIのもの忘れ
忘れ方 体験の「一部」を忘れる
(ヒントがあれば思い出せる)
体験した「こと自体」を忘れる
(ヒントがあっても思い出せない)
具体例 「昨日の夕食のメニューを忘れた」 「昨日、夕食を食べたこと自体を忘れた」
自覚 「忘れた」と気づいている 「忘れた」という自覚が薄れてくる
日常生活 支障はない 支障が出てくる(道に迷う・薬を飲み忘れるなど)
進行 ゆっくりで大きな変化はない 時間とともに進行する
「本人が心配している」より「家族が心配している」ことの方が、認知症の早期サインとして重要です。「最近、父(母)がおかしい」と感じたら、本人が「大丈夫」と言っていても、一緒に受診してください。

気になるサインのチェックリスト

次のような変化が続いている・増えてきた場合は、早めの受診をおすすめします。

もの忘れ・認知機能のサインチェック

1
同じことを繰り返し話す・繰り返し聞く
直前に話した内容を忘れてしまう
2
言いたい言葉がすぐに出てこない
「ほら、あれ」が増えてきた
3
置き忘れが増えた・どこに置いたか忘れる
探し物が以前より格段に増えた
4
日付・曜日・場所の感覚がぼんやりしてきた
今日が何日か・何曜日かわからなくなる
5
慣れた道で迷う・知っている場所がわからない
近所のスーパーへの道がわからなくなった
6
計算・段取りが以前よりつらくなった
買い物の計算・料理の段取りが難しくなった
7
以前好きだったことへの関心が薄れた
趣味・テレビ・人との交流への意欲が落ちた
8
性格が変わった・怒りっぽくなった
以前は穏やかだったのに激しく怒るようになった
3つ以上当てはまる方は、認知機能の評価を受けることをおすすめします。ただし、これらは認知症だけでなく、うつ病・甲状腺機能低下症・睡眠時無呼吸症候群・薬の副作用でも起こります。「認知症かもしれない」と決めつけず、まずかかりつけ医に相談してください。

「MCI(軽度認知障害)」の段階で気づくことが大切です

認知症と加齢の間に「MCI(軽度認知障害)」という段階があります。日常生活はなんとかできているが、記憶などの認知機能が低下している状態です。

MCIとはどんな状態?

65歳以上の約13%(推計400万人)がMCIと推計
年間約10〜15%が認知症に移行するただし適切な介入で移行を遅らせることができる
日常生活はなんとか自分でできている段階
新薬(レカネマブ・ドナネマブ)の適応対象MCI段階からの早期診断・治療開始が重要
生活習慣の改善で進行を抑えやすい段階

なぜ早期発見が大切なのか

認知症は早く気づくほど選択肢が増える病気です。

MCI段階では生活習慣改善・薬の効果が最も高い
新薬(抗アミロイドβ抗体薬)はMCI・軽度段階のみ適応進行してからでは効果がない
治療可能な原因(甲状腺・うつ・薬)は早期発見で完全回復できることも
本人の意向を尊重した将来の準備ができる

緊急度の目安——次にとるべき行動

今日中に受診
急に(数日〜数週間で)もの忘れや混乱が悪化した/突然の見当識障害・意識がもうろうとする/頭を打った後にもの忘れ・ぼんやりが出てきた せん妄・急性脳疾患・慢性硬膜下血腫などの緊急疾患の可能性
→ 当日受診
早めに受診
チェックリストで3つ以上当てはまる/家族が「最近おかしい」と感じている/以前できていたことができなくなってきた MCI・認知症の初期・治療可能な認知機能低下の評価が必要
→ 数日以内
早めに受診
気分の落ち込み・意欲低下・睡眠障害も伴うもの忘れ/新しい薬を飲み始めてからもの忘れが増えた/甲状腺の病気がある・疑われる うつ病・薬の副作用・甲状腺機能低下症による認知機能低下の可能性。治療で改善できる
→ 数日以内
受診を検討
「最近もの忘れが増えた気がする」が自覚症状程度で、生活への支障はまだない 認知機能のベースライン評価として受診しておくことで、将来の変化を追いやすくなる
→ 近日中

認知症に似た症状でも、治療で改善できる病気があります

「もの忘れ=認知症」と決めつけないことが大切です。次の病気は認知症と症状が似ていますが、適切な治療で大幅に改善できます。まず血液検査などで除外することが診断の第一歩です。

注意 うつ病・仮性認知症

うつ病による意欲低下・集中力低下・もの忘れは「仮性認知症」と呼ばれ、認知症と区別が難しい。気分の落ち込み・睡眠障害・食欲低下を伴う。抗うつ薬で改善できる

注意 甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンの不足により思考力・記憶力が低下する。倦怠感・寒がり・体重増加・むくみを伴う。血液検査(TSH・FT4)で診断。甲状腺ホルモン補充薬で改善

注意 慢性硬膜下血腫

頭をぶつけてから数週間後にもの忘れ・ぼんやり・歩行障害が出る。高齢者・血液をサラサラにする薬を飲んでいる方に多い。頭部CTで診断し、手術で回復できる

注意 薬の副作用

睡眠薬・抗不安薬・抗ヒスタミン薬・降圧薬などが認知機能を低下させることがある。新しい薬を始めた後にもの忘れが出た場合は薬の見直しで改善することも

注意 睡眠時無呼吸症候群(SAS)

夜間の低酸素が脳機能を低下させ、日中の集中力・記憶力の低下を引き起こす。いびき・日中の眠気が目立つ。CPAP治療で認知機能が改善することがある

注意 ビタミンB₁₂欠乏・貧血

ビタミンB₁₂不足による末梢神経・脳機能の低下。高齢者・菜食主義の方・胃切除後に多い。血液検査で確認し、補充することで改善できる

⚠ アルツハイマー型認知症

最も多い認知症(約60〜70%)。アミロイドβの蓄積が原因。直近の記憶障害から始まり、徐々に進行。2023〜2024年にMCI段階に適応の新薬(レカネマブ・ドナネマブ)が登場

⚠ 血管性認知症

脳梗塞・脳出血による脳細胞の損傷が原因(約20%)。高血圧・心房細動・糖尿病の管理で進行を予防できる唯一の認知症。症状が段階的に悪化するのが特徴

💡 認知症の新薬について(2023〜2024年承認)
レカネマブ(レケンビ®・2023年12月保険適用)とドナネマブ(キシンタ®・2024年11月承認)は、アルツハイマー病の原因物質(アミロイドβ)を除去し、認知機能の低下を約27〜29%抑制する「疾患修飾療法」です。ただしMCI・軽度認知症の段階のみが対象で、進行してからでは効果がありません。専門病院での投与となりますが、白岩医院から速やかにご紹介します。「気になったらすぐ受診」が最重要です。

白岩医院でできる初期評価

認知機能の変化に気づいたら、まずかかりつけ医で初期評価を受けることが大切です。白岩医院では以下の評価・検査を行い、必要に応じて専門医療機関へ紹介します。

検査・評価 内容
問診・生活状況の確認 本人・家族から症状の始まりと経過を丁寧に聞く。日常生活の変化(できなくなったこと)の把握が最重要
認知機能スクリーニング
(MMSE・HDS-Rなど)
記憶・見当識・計算・言語などを20〜30分で評価。点数で認知機能の段階を把握し、変化を追うベースラインにもなる
血液検査(甲状腺・ビタミンB₁₂・血糖・貧血など) 治療で改善できる認知機能低下の原因(甲状腺機能低下症・ビタミン欠乏・貧血・糖尿病など)を除外する
頭部CT・MRI
(専門病院紹介)
脳萎縮の部位・脳梗塞・脳腫瘍・慢性硬膜下血腫などを確認。病型診断に必須
専門医療機関への紹介
(認知症疾患医療センター)
精密な神経心理検査・脳血流SPECT・アミロイドPET(新薬適応評価)などが必要な場合、連携して紹介
「もの忘れ外来」や「認知症専門外来」を受けるよりも前に、まずかかりつけ医での初期評価が重要です。治療可能な原因を除外したうえで専門医に紹介することで、より的確な診断・治療につながります。

認知機能の低下を遅らせるために——今からできること

認知症を完全に防ぐ方法はまだありませんが、生活習慣の改善でリスクを下げ、進行を遅らせることができると多くの研究が示しています。

最も根拠の強い予防策

高血圧を管理する中年期の高血圧管理が認知症リスクを最も強く下げる
糖尿病・脂質異常症を管理する血管性認知症・アルツハイマー病のリスクを下げる
週150分の有酸素運動を続ける脳血流改善・脳萎縮抑制に最も効果的な非薬物療法
禁煙する喫煙は認知症リスクを約1.5〜2倍に高める
社会参加・人との交流を続ける孤立は認知症の大きなリスク因子

あわせて大切なこと

十分な睡眠をとる睡眠中に脳内のアミロイドβが洗い流される
地中海食・MIND食を意識する野菜・魚・ナッツ・オリーブオイル中心の食事
難聴を放置しない補聴器の使用で社会参加を維持し、認知症リスクを下げる
節酒・過度の飲酒を避ける大量飲酒は脳を傷め、認知症リスクを高める
睡眠時無呼吸症候群の治療CPAPで夜間の低酸素を改善することで脳を守る

家族の方へ——受診のきっかけと付き添いのポイント

「受診を嫌がる本人」への対応

「認知症だと思われたくない」という気持ちから受診を拒否するケースがよくあります。

「物忘れの検査をしよう」ではなく
「血圧や健康のチェックに行こう」と伝える
かかりつけ医への「いつもの受診」の流れで
自然に相談を持ち込む
「本人を責めない」「怒らない」もの忘れを責めると本人の自信と意欲が失われる

受診時に伝えてほしいこと

家族が診察に同席し、以下の情報を医師に伝えると診断が大きく進みます。

症状に気づいた時期・変化の経過
どんな場面でもの忘れが目立つか
性格・行動の変化(怒りっぽい・無気力など)
現在飲んでいる薬のリスト(お薬手帳)
家族の認知症歴・脳卒中の既往

もの忘れ・認知機能の低下に関連する病気の説明

病気 認知機能との関係 詳細ページ
認知症 アルツハイマー型・血管性・レビー小体型など。早期発見で新薬の恩恵を受けやすい → 認知症のページへ
高血圧 中年期の高血圧管理が認知症予防の最重要策。血管性認知症の直接の原因にもなる → 高血圧のページへ
糖尿病 高血糖が脳血管・神経を傷め認知機能を低下させる。血糖管理が認知症予防に直結 → 糖尿病のページへ
脳梗塞・脳卒中の予防 脳血管障害が血管性認知症の原因。脳卒中予防が認知症予防にもなる → 脳梗塞・脳卒中の予防ページへ
睡眠時無呼吸症候群 夜間の低酸素が脳機能を低下させる。CPAP治療で認知機能が改善することがある → 睡眠時無呼吸症候群のページへ

もの忘れ・認知機能の変化が気になったら、白岩医院にご相談ください

「まだ大丈夫かも」と思っているうちが最も大切な受診のタイミングです。認知機能の初期評価から、治療可能な原因の除外・専門医への紹介まで、かかりつけ医として丁寧にサポートします。

  • 最近もの忘れが増えた・同じことを繰り返すと家族に言われた
  • 日付・場所の感覚がぼんやりしてきた気がする
  • 家族の様子が「以前と違う」と感じている(一緒に受診を)
  • 認知症かもしれないが、怖くて病院に行けていない
  • 高血圧・糖尿病があり、認知症予防のためにも管理を続けたい
  • 新薬(レカネマブ・ドナネマブ)について詳しく知りたい

もの忘れは「気にしすぎ」でも「年のせい」でも、気になったときが受診のタイミングです。早く受診すればするほど、選択肢が増えます。白岩医院では高血圧・糖尿病・睡眠時無呼吸症候群の管理を通じた認知症予防から、初期評価・専門医紹介まで一貫してサポートします。ご本人だけでなくご家族の方も、お気軽にご相談ください。

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