世界的な麻疹の流行の影響で、日本でも20人の患者が確認されております(3月24日時点)。感染は海外から持ち込まれたウイルスによるものです。2月24日にアラブ首長国連邦から到着した旅客機の乗客10人と、関空などにいた3人が麻疹と診断され、警戒を強めています。
麻疹の感染力は極めて強く、1人が平均12~18人にうつすとされております(インフルエンザは1から2人です)。空気感染があり、普通マスクや手洗いだけでは予防できないためです(空気感染:空気中に浮遊する粒子を吸う感染)。
有効な対策は2回のワクチン接種です。定期接種で、1歳と小学校入学前に打つのですが、2回目を受けていないお子さんが増えています。1回だけでは、免疫が不十分となりますので、母子手帳にて接種歴を確認してください。
50歳代以上は、ワクチンを接種していなくても、幼少期に感染して免疫を持つ可能性が高いといわれています。ご心配のある方は、採血で免疫の有無を確認できますのでご相談ください(自費での検査になります)。
また、免疫を持たない人が感染すると、90%以上の方が発症すると言われています。典型的な症状は、38℃台の発熱、全身の発疹、咳、鼻水、目の充血です。頬の粘膜に小さな白い斑点が観察されることもあります。7~10日で回復しますが、脳炎や肺炎の合併症で命にかかわる方が、1000人に1~3人といわれています。インフルエンザのような特別な治療薬はなく、つらい症状を軽減するための薬を使用します。
〜よくある質問〜
Q.大人も予防接種を受けた方がいいですか?
A.麻疹にかかったことがなく、2回の予防接種を受けていない方で、特に医療関係者、学校職員など麻疹にかかるリスクの高い方や、麻疹の流行国に渡航する方はご検討ください。麻疹にかかったことがある方は、一生免疫が持続するといわれておりますので、予防接種を受ける必要はありません。現在、ワクチンの供給不足が懸念されるため、接種は定期接種の子供たちを優先して行われております。大人は、まずは採血による抗体検査で自分の免疫を確認してから、必要性を判断してください。