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貧血(鉄欠乏性貧血) explanation

『貧血』とは

 体内の赤血球やヘモグロビン(赤血球内に含まれ、酸素を運搬するためのタンパク質)が少なくなる状態のことを指します。全身の臓器への酸素供給が不足し、様々な症状が現れます。症状は貧血の程度や種類によりますが、疲労感、息切れ、頭痛、めまいなどがあります。

原因

 赤血球に含まれるヘモグロビンの合成に必要な鉄が欠乏することによって生じる貧血を「鉄欠乏性貧血」といいます。

主な原因としては、

・鉄分の不足(偏った食事や無理なダイエット)
・鉄の需要量の増大(成長期や妊娠、出産などの際に鉄の需要が増える)
・鉄の吸収不良(胃や腸切除後などで正常に働かず鉄が吸収されない)
・造血機能の低下(がんや肝臓病などで造血作用が妨げられる)
・激しい運動(筋肉内での鉄の需要、大量の汗とともに鉄が失われる)
・月経過多(子宮筋腫や子宮内膜症など)
・慢性的な出血(腫瘍による消化管出血、がんなど)

などがあります。

検査

 問診や血液検査の結果によって診断します。がんや消化器系の疾患の可能性もあるため、内視鏡検査を実施することもあります。

 基本的には貧血の原因となっている疾患の治療を行いながら、食事療法/薬物療法を行います。

治療内容

貧血の食事療法

 偏食を避けバランスの取れた食事を摂るようにし、鉄分を多量に含む食品の摂取が大切です。

貧血の薬物療法

 経口鉄剤(鉄分の飲み薬)が処方されます。注射や点滴で治療することもあります。

予防と対策

1 良質のたんぱく質を含む食品を

 たんぱく質は、血液中の赤血球やヘモグロビンの材料となる大切な栄養素です。良質のたんぱく質を含む食品とは、魚介類、肉類、卵、大豆製品、乳製品など。

2 鉄分を十分にとりましょう

肉類や魚介類:
豚/とりレバー、豚/牛もも肉、かつお、まぐろ、あさり

乳製品や青菜:
ほうれん草、小松菜、ひじき

3 造血効果のあるビタミン類を十分にとりましょう

 ビタミンC(新鮮な野菜や果物)は、鉄の吸収率を高めます。ビタミンB12と葉酸は、正常な赤血球を作るために必要な栄養素です。

ビタミンB12を多く含む食品:
牛/豚レバー、魚介類、貝類、卵黄、チーズ

葉酸を多く含む食品 :
牛・豚レバー、卵黄、大豆、納豆、ほうれん草、ブロッコリー

よくあるご質問

Q

経口鉄剤(鉄分の飲み薬)について教えてください。

A

 鉄補給剤は鉄欠乏性貧血の治療に有効な薬です。胃腸の不快感を引き起こすことがありますので、胸やけや食欲不振などの症状があれば医師に相談しましょう。また、カフェインや乳製品は鉄の吸収を阻害するため、鉄補給剤を摂るときは避けてください。

Q

貧血の治療にはどのくらいの時間がかかりますか?

A

 鉄補給剤を用いた治療は通常、数週間から数か月で症状が改善します。ただし、完全に体内の鉄の貯蔵量を回復するには半年程度かかることもあります。

 また、貧血は再発する可能性があります。鉄の摂取と吸収、鉄の消費と喪失のバランスを保つことが重要です。他に疾患がある場合もありますので、一度医療機関へご相談ください。