『脂質異常症』の原因と症状
高脂血症は血液中の脂質成分である「悪玉(LDL)コレステロールが140mg/dL以上」または「中性脂肪が150㎎/dL以上」と高い状態になっていることを指す病気です。高脂血症は脂質異常症と呼ばれることもあります。
脂質異常症の原因の多くは生活習慣の乱れによるものです。食生活の乱れや運動不足、肥満などが原因で成人以降に発症します。他にも、遺伝や、糖尿病などの他の病気、服用している薬などの影響により引き起こされることもあります。
脂質異常症は自覚症状として現れないことが多いですが、そのまま放置していると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞などの病気を引き起こしやすくなります。また、中性脂肪の値が高いと脂肪肝や急性膵炎などの病気のリスクが高まるので要注意です。
治療内容
生活習慣を改善することが大事
生活習慣の改善
食生活の見直しや禁煙、アルコール摂取を控える、有酸素運動を取り入れるなどの対策が効果的です。
薬物治療
食事や運動療法がどうしても困難な場合や効果が見られない場合にコレステロール値を下げる薬や、中性脂肪の値を下げる薬を服用して治療していきます。
お気をつけいただきたいこと
高脂血症、脂質異常症を引き起こしている原因に応じて、それぞれ効果的な生活習慣改善の方法が変わってきます。
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高い!
動物性脂肪やコレステロールを多く含む食品が主な原因です。肉の脂身やバター、チーズ、卵などに多く含まれます。また、おかしやインスタント食品にも含まれますので、これらの食品を摂りすぎないよう注意が必要です。
大豆(豆腐、納豆)、野菜、食物油、海藻類はコレステロールを下げる食品です。ふだんの食事に取り入れてください。
中性脂肪が高い!
脂肪・糖質の摂取過多、特に甘いものやアルコールが主な原因です。これらの摂取を控え、運動や体重の減量などを合わせて取り入れることで中性脂肪を下げることができます。
HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低い!
肥満や喫煙、運動不足が主な原因です。適度な運動や禁煙、適正体重のコントロールなどを取り入れることでHDLコレステロール値の向上が見込めます。
脂質異常症を放置していると、動脈硬化が発生しやすくなります。動脈硬化により心筋梗塞や狭心症、脳梗塞など様々な重篤な病気のリスクが高まりますので、日ごろから脂質異常症を予防、治療することが大切です。
よくあるご質問
「高脂血症」は脂質異常症とどう違うのですか?
以前は高脂血症という診断名がすべての病態に使用されていましたが、HDL(善玉コレステロール)が基準値より低くなる場合も含まれるため、「脂質異常症」という診断名を使用することになりました。
善玉・悪玉コレステロールとは何ですか?
HDLコレステロールは、細胞に蓄積したコレステロール(脂肪分)を除去し、動脈硬化を防ぐ作用があります。一方でLDLコレステロールは、血中に多く存在すると血管内に沈着・蓄積し、動脈硬化から心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすリスクを高めます。両者の働きからHDL=善玉コレステロール、LDL=悪玉コレステロールと呼んでいます。
薬はずっと飲み続けることになるのですか?
薬だけに頼るのではなく生活習慣の改善がとても大切です。継続的な生活習慣の改善で脂質異常症の値が正常となり、薬の服用が必要なくなる場合もあります。